中野Ａ遺跡・中野Ｂ遺跡（読み）なかのえーいせき・なかのびーいせき

日本歴史地名大系

中野Ａ遺跡・中野Ｂ遺跡
なかのえーいせき・なかのびーいせき

• 北海道：渡島支庁
• 函館市
• 旧銭亀沢村地区
• 銭亀沢村
• 中野Ａ遺跡・中野Ｂ遺跡

[現在地名]函館市中野町

函館空港東端部付近に位置する縄文時代早期中葉を中心とする集落遺跡。空港周辺地域は海岸段丘が発達し、多くの小河川が段丘を開析して津軽海峡に流れ込んでいる。小河川の一つである銭亀宮（ぜにがめみや）川沿い、河口から約八〇〇メートル上流の標高四〇―五〇メートルの段丘縁辺に立地する。銭亀宮川の右岸に中野Ａ遺跡、ほぼ対岸に中野Ｂ遺跡が所在する。昭和四七年（一九七二）空港滑走路拡張工事区域内の遺跡分布調査で確認され、同五〇年・同五一年・同五三年、平成三―八年（一九九一―九六）にわたり事前発掘調査が実施された。

中野Ａ遺跡は昭和五〇年・同五一年・同五三年、平成三年・同四年に調査が行われ、縄文時代早期から同前期の竪穴住居跡七〇軒・土坑三九基などが発見されている。なかでも早期中葉に該当する貝殻文尖底の物見台式土器期の住居跡が五九軒ともっとも多い。これらは標高の高い所から低いほうへ移動しており、平面形では方形状から円形状へ、構造的には大型で複数の主柱穴や炉のある住居跡から小型で主柱穴や炉のないものへ、という移り変りがみられる。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」