中ノ尾供養碑(読み)なかのおくようひ

国指定史跡ガイド 「中ノ尾供養碑」の解説

なかのおくようひ【中ノ尾供養碑】


宮崎県日南市殿所にある石碑飫肥城(おびじょう)を見下ろす中ノ尾砦の一角に建てられた石碑で、飫肥地方の支配をめぐって島津氏と伊東氏が激しく争ったことを如実に示す金石文として知られ、1934年(昭和9)に国の史跡に指定された。鎌倉時代から室町時代を通じてこの地を支配していた島津氏と、室町時代以降、日向において勢力を拡大しつつあった伊東氏の衝突は不可避であった。1547年(天文16)、飫肥地方を攻撃した伊東軍は、飫肥城を見下ろす中ノ尾や堰ノ尾に砦を築き、翌年、飫肥城の支城新山城を焼き討ちにすると、1549年(天文18)に島津軍は中ノ尾砦に攻め入り、この戦いで伊東軍300人余が討ち死にしたとされる。この供養碑は同年、伊東軍の戦死者を供養するため島津氏が建てた「敵方供養碑」。碑は舟形光背形で、碑の高さは地表から1.2m、幅50cm、半肉彫りされた地蔵菩薩立像の高さは85cm。飫肥地方は1568年(永禄11)に伊東氏の領有となるが、1576年(天正4)に再び島津領となり、その後伊東領として明治にいたっている。JR日南線飫肥駅から徒歩約30分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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