世界綱目(読み)せかいこうもく

改訂新版 世界大百科事典 「世界綱目」の意味・わかりやすい解説

世界綱目 (せかいこうもく)

歌舞伎作者のための便覧写本1冊。原著者不明。筑波大学所蔵本には〈金井三笑撰ト云〉とある。1791年(寛政3)以前に原型成立,以後の歌舞伎作者たちが転写,補筆したものである。歌舞伎狂言の基本概念である〈世界〉を時代,御家,世話などに分類して名目を掲げ,それぞれに登場する役名,参考書,同題材の浄瑠璃作品名を列挙し,必要な注を施してある。写本は現在3点確認され,国立国会図書館,筑波大学,東京大学教養学部に所蔵されている。それぞれにかなりの異同が見られる。このうち国会図書館本が,《珍書刊行会叢書》9,国立劇場編《狂言作者資料集》1に翻刻。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の世界綱目の言及

【世界】より

…〈世界〉の用語は1757年(宝暦7)7月江戸中村座の役割番付の小名題に〈仕組〉や〈趣向〉とともに記されており,すでに劇作用語として成立している。69年(明和6)刊《根無草後編》には江戸の芝居の年中行事としての〈世界定め〉の語も見られるが,当期の京坂の歌舞伎,浄瑠璃の文献に見当たらず,《世界綱目》後記の筆写経路にも京坂の作者名が見られないことから,〈世界〉の用語や概念は江戸時代中期の江戸歌舞伎界での成立と見られる。《戯財録》には〈世界〉と〈趣向〉に関する著名な説が見えている。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」