不断経(読み)フダンギョウ

デジタル大辞泉 「不断経」の意味・読み・例文・類語

ふだん‐ぎょう〔‐ギヤウ〕【不断経】

毎日、絶え間なく経を読むこと。また、死者の冥福追善などのために、一定期間、昼夜間断なく大般若経だいはんにゃきょう最勝王経法華経などを読みあげること。不断読経
「―の暁方あかつきがたの、ゐかはりたる声のいと尊きに」〈総角

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精選版 日本国語大辞典 「不断経」の意味・読み・例文・類語

ふだん‐ぎょう ‥ギャウ【不断経】

〘名〙 (「ふだんきょう」とも) 毎日、間断なく経を読むこと。死者の供養などのため、一定の期間、昼夜絶え間なく、大般若経、法華経などを読むこと。また、それらの経。不断の読経。
※枕(10C終)一六五「ど経はふだん経」

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改訂新版 世界大百科事典 「不断経」の意味・わかりやすい解説

不断経 (ふだんぎょう)

一定の期間を定めて,昼夜間断なく経典を読むこと。不断念仏にならったもので,不断念仏が亡者往生のためにおこなわれることが多いのに対して,不断経は浄土経以外の宗派で死者の減罪と成仏のためにおこなわれる。したがって《法華経》を不断に読むことがもっとも多く,御伽草子《梵天国》には〈法花三昧の不断経を三年読せて参らすべし〉などとある。貴族の場合は死後法華三昧堂で三七日(21日)なり七七日(49日)なりの不断経があったが,一般人の場合は大寺院で盂蘭盆(うらぼん)のあいだ,一七日(7日)の不断経が読まれるのに結縁した。現在高野山で盂蘭盆に不断経があるのはこれである。交代で,夜も昼も1人の僧が読経の声を断やさないが,真夏の昼下がりなどにセミの声とともに聞く不断経には風情がある。《枕草子》に〈読経は不断経〉とあるのは,このような不断経を指したものとみることができ,たいてい12人の僧が1刻ずつ交代する。
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