上元(読み)じょうげん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「上元」の意味・わかりやすい解説

上元
じょうげん

太陰暦1月 15日のこと。元来は中国の節日で,中元 (7月 15日) ,下元 (10月 15日) とともに三元といわれた。上元の夜は元宵として特に多彩な行事が行われる。日本では下元は取入れられなかったが,上元は中元とともに定着した。小正月,女正月の名称もあり,左義長 (さぎちょう) ,ドンド焼きなど種々の民間行事が行われ,特に小豆粥の食事とそれに関係した習俗は全国的な広がりをもっていた。ただし,太陽暦普及により,これらの民間行事が本来の上元の日からずれて,現行暦の1月 15日の行事になってしまったのは,中元と同様である。

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精選版 日本国語大辞典 「上元」の意味・読み・例文・類語

じょう‐げん ジャウ‥【上元】

〘名〙 節日の一つ。陰暦正月一五日の称。この日、あずきがゆを食べると、一年中の災難が避けられるという。七月一五日の中元、一〇月一五日の下元に対する語。《季・新年》
※尺素往来(1439‐64)「七穀烹粥者上元之世礼」 〔俳諧・改正月令博物筌(1808)〕 〔旧唐書‐中宗紀〕

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占い用語集 「上元」の解説

上元

暦の見方の1つ。各年月日時を干支で表した干支暦において、六十干支が一周した期間を一元として、上元・中元・下元と繰り返される。合わせて三元となるが、上元はその最初の期間のこと。

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デジタル大辞泉 「上元」の意味・読み・例文・類語

じょう‐げん〔ジヤウ‐〕【上元】

三元の一。陰暦正月15日の称。この日、小豆がゆを食べると一年中の災いを避けられるとされる。 新年》中元下元

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世界大百科事典 第2版 「上元」の意味・わかりやすい解説

じょうげん【上元】

旧暦1月15日をいい,日本では小正月の行事が祝われる。また,この日と中元,下元をあわせて三元と総称する。
[中国]
 道教では,三元大帝の一人天官(人に福を賜う神)の誕生日とみなし,北魏以来,祭日となる。この夜(元宵)に灯籠を飾る(張灯)ようになったのは,ほぼ隋代以後と考えられ,灯節元宵節とも呼ばれる。張灯の期間は,唐代では前後3日間,宋以後は一般に5日間となり,清末・民国以後,急速に衰えた。唐・宋時代,意匠を凝らした飾り灯籠のほかに,無数の絵灯籠をぶらさげた樹形,山形の大きな屋台も作られ,灯樹(火樹),山棚(さんぽう)(灯山)などと呼ばれた。

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普及版 字通 「上元」の読み・字形・画数・意味

【上元】じよう(じやう)げん

陰暦一月十五日。三元の一。家々に灯を飾る。〔旧唐書、中宗紀〕(景竜)四年春正~上元の夜、皇后と、行して燈をる。

字通「上」の項目を見る

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世界大百科事典内の上元の言及

【三元】より

…中国,三元は本来,歳・日・時の始め(元は始の意)である正月1日を指したが,六朝末期には道教の祭日である上元・中元・下元を意味し,それぞれ正月・7月・10月の15日を指すようになった。天官・地官・水官のいわゆる三官(本来,天曹(てんそう)すなわち天上の役所を意味したが,しだいにいっさいの衆生とすべての諸神を支配する天上最高の神となる)がそれぞれの日,すべての人間の善悪・功過を調査し,それに基づいて応報したという。…

【正月】より

…正月7日(人日(じんじつ))には,日本の七草粥(ななくさがゆ)の源流になった,7種の野草のスープを作る風習があったが(《荆楚歳時記》),今日ではほとんどみられない。正月15日を元宵節(げんしようせつ)といい,この夜を中心に前後数日間,家々の軒先や街角に色とりどりのちょうちんがともされ,人々は新年最初の満月の夜を楽しむ(上元)。このいわゆる元宵観灯はすでに唐代からあるが,この日をもって正月は終わる。…

【中秋節】より

…また南朝鮮の海岸地方ではカンガンスオレーという女性の円舞が月光のもとで行われるし,済州島でも照里戯という舞踊兼綱引きが挙行される。また正月上元に行われた〈迎月〉もこの日に再びとり行われる。 秋夕の行事には上元の行事と共通するものが多く認められ,朝鮮では上元と秋夕の祭儀が明らかに対偶関係にあることを示している。…

【年中行事】より

…1月7日は〈人の日〉と名づけられた人日節であり,〈人勝〉を屛風などに貼り,その日の天候のよしあしによって1年の禍福を占った。1月15日は上元節で,その夜を元宵(げんしよう)と呼ぶ。この日を中心に前後3日間,もしくは5日間,華やかな灯籠祭がくり広げられ,一晩中,見物の人で雑踏する。…

※「上元」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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