上代文学(読み)ジョウダイブンガク

デジタル大辞泉 「上代文学」の意味・読み・例文・類語

じょうだい‐ぶんがく〔ジヤウダイ‐〕【上代文学】

古代文学うち太古から奈良時代までの文学古事記日本書紀風土記などにみえる神話伝説歌謡などの口承文学から、万葉集祝詞のりと宣命などの記載文学まで、種々の形態がある。

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精選版 日本国語大辞典 「上代文学」の意味・読み・例文・類語

じょうだい‐ぶんがく ジャウダイ‥【上代文学】

〘名〙 古代文学の前半期、文学の発生から奈良時代までの文学。長い口誦の時代を経て伝えられてきた神話・伝説・歌謡などが、八世紀初頭から中頃にかけて「古事記」「日本書紀」「風土記」などに定着した。それ以前の七世紀中ごろから歌謡がしだいに個の芽生えの気配を見せはじめ、額田王(ぬかだのおおきみ)などが現われる。七世紀後半の近江朝に至って漢詩文もようやく上流階級の間で行なわれはじめ、壬申(じんしん)の乱後の律令体制による統一国家完成への機運の高まりと共に個の自覚が明確化するようになり、日本文学史上有数の歌人柿本人麻呂が出現する。さらに、叙景歌人山部赤人、人生詩人山上憶良、伝説歌人高橋虫麻呂の他、大伴旅人など個性的な歌人が輩出し、万葉風の最盛期を迎える。和歌は以後、王朝風の繊細な感覚を示した大伴家持を最後に、中古まで文学史の主流を漢詩文学に譲る。すなわち、漢詩集「懐風藻」、伝記「家伝」「唐大和上東征伝」などが編纂された。なお、和歌集「万葉集」は奈良時代末ごろに編纂されたといわれている。上代

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