三綱(儒教)
さんこう
儒教倫理説の一つで、君臣・父子・夫婦の3種類の関係において、尊者に対する服従を道徳の大綱であるとする。一般に後漢(ごかん)の『白虎通義(びゃっこつうぎ)』の定義によるが、すでに『韓非子(かんぴし)』忠孝篇(へん)に、「天下の常道」として「臣は君に事(つか)へ、子は父に事へ、妻は夫に事ふ」と述べ、『春秋繁露(しゅんじゅうはんろ)』基義篇には「王道の三綱」として君臣・夫婦・父子の関係を論じているように、古代中央集権体制の成立に伴って生まれたものである。
[廣常人世]
『田中麻紗巳「三綱の説について」(『集刊東洋学26』所収・1971・東北大学中国文史哲研究会)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例