三才報徳金毛録(読み)さんさいほうとくきんもうろく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「三才報徳金毛録」の意味・わかりやすい解説

三才報徳金毛録
さんさいほうとくきんもうろく

江戸後期の農政家二宮尊徳の著。1834年(天保5)に成る。尊徳の理論的著作のうちもっとも代表的なもので、尊徳の独特の哲学的世界観が円の図をもって体系的に示され、その解説が付されている。その内容は、(1)天地生成の由来を『易経』『太極図説』『老子』、仏教の五輪説等の考えを取り込みながらも尊徳独自の立場から説き明かし、(2)天地の周期的運動によって四季の変化が生じ、それに伴い草木動物人間いっさいの生命が現成しはぐくまれる次第を述べ、(3)天地の根本的摂理を知り、それにかなった生活の準則を提示するに及んでいる。題名の「三才」とは天地人の三つの働きを意味し、宇宙と人間存在の究極的意義を追い求めた尊徳の一貫した姿勢がうかがえる。

[小島康敬]

『奈良本辰也校注「三才報徳金毛録」(『日本思想大系52』所収・1973・岩波書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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