三役(読み)サンヤク

デジタル大辞泉 「三役」の意味・読み・例文・類語

さん‐やく【三役】

ある組織を代表する、三つの主要な役職。また、その役職にある人。→政務三役党三役

相撲で、大関関脇小結のこと。現在は横綱も含めていう。
㋑能で、シテ方に対して、ワキ方囃子方はやしかた狂言方
㋒茶道で、茶会のときの亭主正客しょうきゃくお詰め(末客)。
江戸時代、幕府直轄領で行われた特別の賦税。御伝馬宿入用米・六尺給米・御蔵前入用金の総称。高掛たかがかり三役。

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精選版 日本国語大辞典 「三役」の意味・読み・例文・類語

さん‐やく【三役】

〘名〙
[一] 三つの重要な役割、役職の意。
① 幕府勘定所の勘定奉行勘定吟味役・勘定組頭のこと。〔地方凡例録(1794)〕
名主・組頭・百姓代のこと。村方三役
能楽で、ワキ方・はやし方・狂言方のこと。
茶の湯で、亭主・正客・お詰(末客)の三つをいう。
⑤ 相撲で、大関・関脇・小結のこと。
※東京風俗志(1899‐1902)〈平出鏗二郎〉下「第一段を幕の内と称し、大関、関脇、小結、(以上を三役といふ)前頭と列ぬること定例の如く」
⑥ 会社、政党、組合などでの三つの重要な役職。また、その地位の人。
[二] 江戸時代、幕府直轄領での付加税の一つ。御伝馬宿入用・六尺給米・御蔵前入用の三つをいう。風水旱虫などにより田高五分以上の損毛のときは免除された。〔地方凡例録(1794)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「三役」の意味・わかりやすい解説

三役 (さんやく)

能楽用語。シテ方に対して,ワキ方,囃子方,狂言方の3種の職掌を総称する語。江戸時代には,たとえば観世座のワキ方は福王流または進藤(しんどう)流,金春(こんぱる)座の狂言方は大蔵(おおくら)流などのように,シテ方はある程度まで専属の三役を抱えていたが,明治以後は自由契約となり,シテ方五流(観世宝生,金春,金剛,喜多)のいずれに対しても,三役のどの流派もが相手をする形をとっている。シテ中心主義に傾きやすい能楽社会にあって,三役の技芸を継承する演者は不足しがちである。三役の養成は,各流家元・職分が個々に行うほか,早く明治期に池内信嘉(いけのうちのぶよし)が能楽俱楽部(のち能楽会に吸収)で囃子方を養成したのに始まり,東京音楽学校およびその後身の東京芸術大学音楽学部でも課程を設け,また1954年には東京都と国庫の補助金を得て能楽三役養成会(のち能楽養成会と改称)が発足するなど,公的機関でも行われてきたが,84年能楽養成会の事業は国立能楽堂に引き継がれた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三役」の意味・わかりやすい解説

三役
さんやく

(1) 江戸幕府が直轄領に課した賦役。伝馬宿入用 (五街道の宿駅の費用にあてる) ,六尺給米 (幕府の雇用した駕籠かきなどの給米) ,蔵前入用金 (御米蔵の費用にあてる) の三役があった。明治維新後,諸制度の整備されるなかで廃絶。 (→高掛物 ) (2) 芸能,社会そのほかの集団の主要の役職にあるものを三役と呼びならわし,たとえば郷村では名主,組頭,百姓代が村方三役 (→村役人 ) と呼ばれ,相撲では,大関,関脇,小結が,能楽では,シテ方に対して,ワキ方,狂言方,囃子 (はやし) 方が三役と呼ばれた。

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知恵蔵 「三役」の解説

三役

小結、関脇、大関のことを指す。番付上には必ず東西各1人以上、置かなくてはいけないのが不文律。大関が1人になった場合は、横綱が大関を兼務し「横綱大関」となる。相撲協会の待遇面では、小結、関脇を指す。

(根岸敦生 朝日新聞記者 / 2007年)

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とっさの日本語便利帳 「三役」の解説

三役

大相撲→「日常生活で役に立つ!編 スポーツ用語」の「番付」

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