出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
能楽用語。シテ方に対して,ワキ方,囃子方,狂言方の3種の職掌を総称する語。江戸時代には,たとえば観世座のワキ方は福王流または進藤(しんどう)流,金春(こんぱる)座の狂言方は大蔵(おおくら)流などのように,シテ方はある程度まで専属の三役を抱えていたが,明治以後は自由契約となり,シテ方五流(観世,宝生,金春,金剛,喜多)のいずれに対しても,三役のどの流派もが相手をする形をとっている。シテ中心主義に傾きやすい能楽社会にあって,三役の技芸を継承する演者は不足しがちである。三役の養成は,各流家元・職分が個々に行うほか,早く明治期に池内信嘉(いけのうちのぶよし)が能楽俱楽部(のち能楽会に吸収)で囃子方を養成したのに始まり,東京音楽学校およびその後身の東京芸術大学音楽学部でも課程を設け,また1954年には東京都と国庫の補助金を得て能楽三役養成会(のち能楽養成会と改称)が発足するなど,公的機関でも行われてきたが,84年能楽養成会の事業は国立能楽堂に引き継がれた。
執筆者:羽田 昶
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(根岸敦生 朝日新聞記者 / 2007年)
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