ワカコ酒(読み)わかこざけ

知恵蔵 「ワカコ酒」の解説

ワカコ酒

広島市出身のマンガ家、新久千映(しんきゅうちえ)による日本のマンガ。マンガ雑誌「月刊コミックゼノン」(徳間書店)で2011年から連載されている。また、同誌のウェブコミック「WEBコミックぜにょん」やスマートフォン向け無料マンガアプリ「LINEマンガ」でも連載中。酒飲みの26歳の会社員女性、村崎ワカコが、居酒屋や自宅で一人酒を堪能する様子を淡々と描いた作品。食材や調理法に対するうんちくストーリーにおける劇的な展開はなく、純粋に酒と食を楽しむ主人公姿勢共感を呼んでいる。きめぜりふは、酒と料理が絶妙にマッチした時に出る感嘆吐息「ぷしゅー」。単行本は、15年7月に5巻が発売され、累計100万部を突破した。
日本のマンガ界では、1970~80年代から『包丁人味平』(作・牛次郎、画・ビッグ錠)や『美味しんぼ』(作・雁屋哲、画・花咲アキラ)、『クッキングパパ』(うえやまとち)といったグルメマンガのジャンルが確立され、近年では、料理対決をメーンにしたバトル系、珍しいまたは個性のある食材を追求する美食系、安価で庶民的な料理をクローズアップしたB級グルメ系、自宅で作れる料理ばかりが出てくる自炊系、鉄道や歴史など別のジャンルと組み合わせたものなど、細分化が進んでいる。ワカコ酒は、これらのどのジャンルにも当てはまらず、主人公のワカコはだし巻き玉子やざる豆腐、鶏の空揚げといった一般的な居酒屋料理を、それに合う酒と味わうのみで、彼女を取り巻く人間関係については少ししか描写されない。また、ワカコは作者の自画像が元となっている。
15年1月に武田梨奈主演でテレビドラマ化され、BSジャパンやテレビ東京系列などで放送された。同年7月にはTOKYO MXやサンテレビでテレビアニメ化された。韓国ではワカコ酒を原作としたテレビドラマ「私に乾杯~ヨジュの酒(原題)」が制作され、同年12月から放送されている。日本では16年1月からテレビドラマ「ワカコ酒Season2」がBSジャパンで放送予定。
15年10月に広島県東広島市で開かれた「酒まつり」に合わせてポストカードや酒升が作られるなど、イベントやお菓子などとのコラボレーションも行われている。

(南 文枝 ライター/2015年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

デジタル大辞泉プラス 「ワカコ酒」の解説

ワカコ酒

新久千映による漫画作品。『月刊コミックゼノン』2011年~不定期連載。酒呑みのOL村崎ワカコが、色々な居酒屋でひとり酒を楽しむグルメ漫画。実写ドラマ、テレビアニメ作品もある。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

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