いざか‐や ゐざか‥【居酒屋】
[1] 〘名〙
店先で気楽に酒を飲ませる酒屋。また、安酒を飲ませる店。もと、
味見に飲ませたものが一杯売りとなり、のちに、簡単な料理を提供するようになったもの。
居酒店。いざけ。いざけや。
※雑俳・雲鼓評万句合‐宝暦元(1751)「居酒屋に人がら捨て呑んでいる」
[2] (
原題L'Assommoir)
長編小説。
ゾラの
出世作。一八七七年刊。洗濯女ジェルベーズと、ブリキ職人クーポーの夫婦が、ふとしたことから転落してゆく話を軸に、貧しい労働者たちの
悲惨を描く。
フランス自然主義文学の先駆とされる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「居酒屋」の意味・読み・例文・類語
いざかや【居酒屋】[書名]
《原題、〈フランス〉L'Assommoir》ゾラの小説。1877年刊。洗濯女ジェルベーズの運命を中心に、パリの下層階級の生活を写実的に描く。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
居酒屋
1956年製作のフランス映画。原題《Gervaise》。エミール・ゾラの同名小説の映画化。監督:ルネ・クレマン、出演:マリア・シェル、フランソワ・ペリエ、アルマン・メストラルほか。第10回英国アカデミー賞作品賞受賞。
居酒屋
古典落語の演目のひとつ。「ずっこけ」の前半部分が独立したもの。「ないものねだり」とも。三代目三遊亭金馬が得意とした。オチは地口オチ。主な登場人物は、小僧、酔っ払い。
出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報
いざかや【居酒屋】
店先などで手軽に酒を飲ませる店の称。
[日本]
江戸時代の前期,すでに街道筋の茶店は酒肴(しゆこう)をひさいでおり,都市の煮売屋が酒を提供したことも考えられるので,専業の居酒屋はそれらから分化して,江戸時代中ごろには成立していたと思われる。しかし,造酒屋や小売酒屋がそうした商いをしたのははるかに古いことで,実質的な居酒屋営業は奈良時代にさかのぼる。《続日本紀》天平宝字5年(761)3月己酉の記事に見られるのがそれで,この日,忍壁(おさかべ)(刑部)親王の孫の葦原王なる人物が種子島へ流罪になるのだが,この王が殺人の罪を犯したのは,〈喜んで酒肆(しゆし)に遊ぶ〉うち〈博飲して忽ち怒を発し〉ていっしょに飲んでいた相手を刺殺してしまったというのである。
いざかや【居酒屋 L’assommoir】
フランスの小説家ゾラが〈ルーゴン=マッカール〉シリーズの第7作目として発表した長編小説。1877年刊。ゾラの代表作の一つ。原題のアソモアールは労働者のたまり場の酒場の名。本来は〈棍棒〉の意味で,強い安酒の酔いの比喩でもある。題名からも想像がつくように,この小説は,パリの下層労働者が生活の悲惨さを忘れようとして酒に身を持ち崩し,破滅するさまを描いたものである。人間を獣性において描くゾラの自然主義はこの作品で頂点に達し,その描写のどぎつさは読者に反発をいだかせ,非難攻撃の声が上がった。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
世界大百科事典内の居酒屋の言及
【看板】より
…内部に照明を設ける場合が多い。建看板は,江戸時代に店の前の道路に柱を立てて看板を掲げた形式で,欧米の居酒屋看板にもこの形が見られる。絵看板は江戸初期から見世物・劇場に用いられ,今日でも映画館で行われているが,最近アメリカを中心として日本でも,絵に代わって巨大な写真をはる方法が急激に増えている。…
【清酒】より
…さらに〈大篩で酒を篩う〉とあり,いずれもろ過したすみ酒であった。 民間での酒造も古くから行われていたようで,《万葉集》巻十六には能登の熊来(くまき)酒屋の名が見え,《続日本紀》には761年当時すでに居酒屋風の店のあったことが記録されている。鎌倉時代,京都には藤原定家が〈員数を知らず〉としたほどの土倉があり,その大半は酒屋であった。…
【バー】より
…昔のヨーロッパの居酒屋tavernには宿屋innを兼営しているものが多かった。それが,今日のイギリスで総称的にパブと呼ばれている居酒屋の原型である。…
※「居酒屋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報