レンツ(Siegfried Lenz)(読み)れんつ(英語表記)Siegfried Lenz

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

レンツ(Siegfried Lenz)
れんつ
Siegfried Lenz
(1926―2014)

ドイツの作家。東プロイセン(現ポーランド領)の生まれ。水兵として第三帝国の没落を体験。第二次世界大戦後は新聞の文芸部員を経て、1951年の処女長編蒼鷹(あおたか)が空にいた』で作家として独立。迫害と自らの罪による人間の挫折(ざせつ)という基本テーマは以後も踏襲される。他方、故郷の庶民生活を楽しい民話仕立てにした『ズライケン風流譚(たん)』(1955)は彼の人気を不動のものにした。『ミラベルの精』(1974)も同種の作品。長編では、ナチスに活動を禁止された画家ノルデをモデルにした『国語時間』(1965)のほか、『模範』(1973)、『郷土博物館』(1978)、『喪失』(1981)、『音響試験』(1990)などがある。つねにアクチュアルな題材を扱い、H・ベル、G・グラスと並んで名声が高かった。

高辻知義

『丸山匠訳『国語の時間』(1971・新潮社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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