日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ライス(Elmer Leopold Rice (Reizenstein))
らいす
Elmer Leopold Rice (Reizenstein)
(1892―1967)
アメリカの劇作家。ニューヨーク市出身。夜学で学び弁護士資格を得るが、文筆に専念、映画のフラッシュ・バック手法をいち早く用いた『公判』(1914)で注目される。その後しばらくアマチュア演劇の制作、演出などに関与。表現主義的幻想により機械文明を風刺した『計算器』(1923)、庶民の群れを安アパートを舞台に写実した『街の風景』(1929。ピュリッツァー賞受賞)が形式的実験と社会的主張が合致して好評を得る。以後は幻想的作品『夢みる乙女』(1945)以外は不振で、アメリカ近代劇の確立発展期にもっとも長く関与した作家として、芸術性と興行性のジレンマに悩んだ。50を超える長短の戯曲のほか、小説4編と自伝1編がある。
[森 康尚]
『杉木喬訳『街の風景』(1936/改定・1939・健文社)』▽『中川龍一訳『夢みる乙女』(『現代アメリカ文学叢書』1951・早川書房)』
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