ヨハネス(3世)(読み)よはねす(英語表記)Johannes Ⅲ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨハネス(3世)」の意味・わかりやすい解説

ヨハネス(3世)
よはねす
Johannes Ⅲ
(1193―1254)

ビザンティン皇帝(在位1222~54)。第4回十字軍のためニカイアに亡命した皇帝テオドロス1世の娘イレーネの夫。義父の死後即位。有能な軍人で、ポイマネノンの戦い(1225)でラテン王国に勝ち、第4回十字軍による首都陥落後のエピルスの亡命政権と、テッサロニキ公国には、宗主権を認めさせた。さらにレスボス、キオスロードスの諸島およびアドリアノープルを奪回するなどニカイア政権の領土を倍増した。内政的にもプロノイア制(土地制度)の復活、外国人傭兵(ようへい)に頼らぬ自国軍兵士による国防力の増強、官僚制度の樹立など、いわば「小ビザンティン帝国」をつくりあげ、後の帝国復興の基礎をつくった。てんかんにより病没。のちギリシア正教会により「憐み深き人」として聖人に叙せられた(11月4日・聖人暦による祝日)。

和田 廣]

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