モリス(Wright Morris)(読み)もりす(英語表記)Wright Morris

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

モリス(Wright Morris)
もりす
Wright Morris
(1910―1998)

アメリカの小説家。ネブラスカ州生まれ。自在で鋭い想像力と旺盛(おうせい)な創作力をもち、土着性と国際性を備えた、現代アメリカ文学の特異な存在である。全米図書賞を受賞した代表作『視界』(1956)は、メキシコの闘牛場を背景に、アメリカ人グループの過去と現在を、視点の手法を駆使して描いた、アメリカ探究の力作である。ほかに『ダドレーおじさん』(1942)、『食人種の中の愛』(1957)、『ローン・ツリーの祝宴』(1960)、『火の説教』(1971)など多数の長編小説を書いている。得意の写真にテクストを組み合わせた『居住者たち』(1946)、『家郷』(1948)、『情事――ベニスの日記』(1972)のほか、評論集として『彼方(かなた)の土地』(1958)、『小説について』(1975)などがある。

[武藤脩二]

『武藤脩二訳『視界』(1974・白水社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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