マツタケ(松茸)(読み)マツタケ(英語表記)Tricholoma matsutake

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マツタケ(松茸)」の意味・わかりやすい解説

マツタケ(松茸)
マツタケ
Tricholoma matsutake

キシメジ科キシメジ属のキノコ(茸)。普通は秋にアカマツ(赤松)林のマツの根もとに生じる。しかし,詳細な調査によれば,ツガ,シラビソ,クロマツ,エゾマツ,まれにトドマツの林にも発生し,梅雨期に生じる場合もある。菌は菌根菌で,生きている樹木の根と共生の関係を保ちながら生育する。その本体は外生菌根として地下生活しており,成長して菌糸の組織化が起こって,俗に「しろ」と称する菌核が形成されると,そこから子実体が発生するようになる。子実体の傘は,初め球形,しだいに開いて丸山形から扁平になるが,中央は最後までやや高くなっている。その直径は 8~20cm,最大 30cmに及ぶ。表面は乾いて繊維状の鱗被(りんぴ)に覆われ,縁は丸みをもち綿毛を残す。淡黄褐色またはくり褐色をしている。裏面は初め綿毛状の膜で覆われており,傘が伸びてこれが切れると,よく発達した白色ひだが現れる。柄の直径は 1.5~3cm,高さは 10~20cm。上部に残存性の綿毛状の鍔(つば)がある。これは若いときには傘の縁とつながっていた綿毛状の膜の一端である。下部は傘と同様に褐色繊維質の鱗被をもっている。胞子紋は白色。古来香り高い食用キノコとして喜ばれ,珍重されている。菌根菌であるため松林そのものの管理をしなければならず,栽培は非常に難しい。日本全土に分布する。近似種にサマツ(早松)Tricholoma colossus,マツタケモドキ Tricholoma robustum,ヨーロッパ産のマツタケ Tricholoma caligatumなどがあるとされているが,分類学的な研究にはまだ課題が残されている。

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