ホワイトスペース(空白、余白)(読み)ほわいとすぺーす(英語表記)white space

翻訳|white space

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ホワイトスペース(空白、余白)
ほわいとすぺーす
white space

英単語のホワイトスペースは、日本語では空白、余白を意味する。技術用語としてのホワイトスペースは専門分野によって異なる意味を与えられている。

[吉川昭吉郎 2016年4月18日]

出版、デザイン分野におけるホワイトスペース

写真、イラスト、文字などの配置に意図的に設ける空白部分。ホワイトとは何も書かれていないということで、白いということではない。背景色が青や赤であっても、何も書かれていなければホワイトスペースとなる。

 文字や写真などを空白なしに配置すれば、紙数を減らすことができて経済的になるが、見る側に窮屈な印象を与える。逆に空白が多すぎれば、間が抜けた印象となる。ホワイトスペースをどのように設定するかは目的による。美術出版物や高級商業広告では、写真や文字の配置に適切なホワイトスペースを設けることがアートとしてのデザイン上、重要なこととされる。一方、日用品や雑貨の広告ちらしでは、ホワイトスペースを極端に減らして紙面を文字や写真で埋め尽くす手法が、品ぞろえの豊富さを強調するのに有効とされる。

[吉川昭吉郎 2016年4月18日]

文書作成におけるホワイトスペース

印刷物の組版において、文字と文字との間に入れる空白部分。ウェブWeb(インターネット上で用いられる文書の公開システム)の文書を記述するために用いられる言語HTMLでは、文書の文字列に挿入する半角スペース、タブ改行などの特殊記号をさす。これらは文字として表に出ることはないが、半角文字分の空白とみなされる。

[吉川昭吉郎 2016年4月18日]

放送・通信におけるホワイトスペース

放送のために割り当てられている電波帯域のうち、未利用で特定の条件のもとに他の通信目的にも利用可能な周波数帯域をさす。電波の空白部分ということから、ホワイトという表現が用いられる。ラジオ放送やテレビ放送においては、混信や相互妨害を防ぐために、同一地域では放送チャンネルの帯域を隣接させることなく、帯域の間にガードバンドとよばれる未利用帯域が設けられている。電波の需要が急増して電波資源の有効利用が必要になっている社会的要因と、放送の地上デジタル化により隣接した帯域を他の目的に使っても電波の干渉や混信を防止できるようになっている技術的要因を背景として、2010年ごろから、それまでむだな存在であったガードバンドをホワイトスペースと位置づけて有効に利用する研究開発が世界的に盛んになり、種々の通信用途に利用されつつある。詳細については通信・放送におけるホワイトスペースについて解説した別項目「ホワイトスペース」を参照されたい。

[吉川昭吉郎 2016年4月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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