日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ベーコン(Francis Bacon、画家)
べーこん
Francis Bacon
(1909―1992)
イギリスの画家。ダブリン生まれ。17、8歳のころ1人でロンドンに出、ついでベルリンとパリに約2年滞在、室内装飾などの手間仕事をしながら水彩画を、1929年ころにはロンドンに移って油彩画を始める。初め室内装飾や家具などで注目されたのち、油彩画に専念することになる。写真や複製をもとに、有機的形態を極度に変形した形で表現し、奇怪な生物や人間が原色で数多く描かれることになる。グレアム・サザランドとも親交を結び、互いに影響を受ける。『ベラスケスによる習作、教皇インノケンティウス10世』の連作など、取りつかれたように制作する。室内の人物像など、色彩も形も極度に変形された画面だが、近作になるにつれ、原色のコントラストと変形にもかかわらず、全体として画面全体がしだいに落ち着きを増してきた。
[岡本謙次郎]
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