フンタ(読み)ふんた(英語表記)junta スペイン語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フンタ」の意味・わかりやすい解説

フンタ
ふんた
junta スペイン語

スペイン史において会議、委員会、評議会の意。近現代においては、とくに支配権力に対抗して組織される場合をさす。14世紀に設置された際は、身分制議会の決議執行を監視する役割を付与されていた。15世紀後半に、イサベル1世(在位1451~1504)がカスティーリャに「最高フンタ」を招集したときは、行政権力をも有していた。16世紀初頭、カルロス1世(在位1516~56)が都市の特権圧迫を加えると、1520年、カスティーリャ諸都市は反乱自治組織コムニダーデスを結成し、マドリード西方アビラに「フンタ・サンタ」を招集、税不払いなどを決議したが、翌年貴族軍に打ち破られた。1808年スペインに侵入したナポレオンバイヨンヌに招集した議会もフンタとよばれたが、これに抵抗する勢力も各地に地方フンタを結成、それらが中部のアランフエスに集合して「中央最高フンタ」が成立した。だが、内部の社会的差異は大きく、民衆のゲリラ戦にもかかわらず抵抗を統率できず、1810年解散し、より革命的なカディス議会に席を譲った。1936年7月、人民戦線政府に対する反乱派が北部ブルゴスに設立したものは「国民防衛フンタ」と名づけられていた。

[深澤安博]

『J・ビセンス・ビーベス著、小林一宏訳『スペイン――歴史的省察』(1975・岩波書店)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フンタ」の意味・わかりやすい解説

フンタ
junta

スペイン語で「会議」「委員会」を意味する。 1808年ナポレオン軍に占領されたスペインでは,民衆の抵抗組織が各地に生れ,これらを統合して唯一の中央議会 (フンタ) がアランフェスにおかれた。類似のフンタは,スペイン領アメリカの諸地域 (カラカスブエノスアイレスなど) にも生れたが,次第にスペイン国王の権威をも否定するにいたり,ここに独立への道が開かれた。この意味において,フンタがスペイン領アメリカの独立に果した役割は少くなかった。現在では,クーデター後正統な政権が樹立するまでの臨時の国家統治機関 (革命政府) をさす。

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世界大百科事典(旧版)内のフンタの言及

【スペイン】より

…スペイン国民の抵抗が続く中で,ナポレオンはカルロス4世がフェルナンド7世へ譲った王位を,兄のジョセフ・ボナパルトへ移譲させるのに成功した(ホセ1世)。しかし,この王位移譲を認めない国民は,事実上の公権力が崩壊した状況の中で,国家の主権と同様の権能を有した〈評議会(フンタJunta)〉を各地方の都市に結成した。そして,唯一の非占領地であった南部の港町カディスに参集した非常に少数の評議会代表者が議会を開会し,自由主義に基づく1812年憲法(カディス憲法)を発布した。…

※「フンタ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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