ヒシ(菱)(読み)ヒシ(英語表記)Trapa japonica

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒシ(菱)」の意味・わかりやすい解説

ヒシ(菱)
ヒシ
Trapa japonica

ミソハギ科水草で,アジア東部の温帯に広く分布する。日本では各地の池沼に自生する。泥中に根を張り,水深に応じて茎を伸ばし,上端は水面に達して多数の葉をつける。茎の節ごとに羽状に裂けた細い根を出す。葉は菱形半分の三角形で,鋸歯があり,表面は光沢がある。葉柄は多少ふくらんで浮力をもつ。夏に,葉の間に径 1cmほどの白花をつける。花弁萼片ともに 4枚で,中心に黄色の花盤がある。花後,両側とげのある核果をつける。種子は「菱の実」と呼んで食用とする。

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百科事典マイペディア 「ヒシ(菱)」の意味・わかりやすい解説

ヒシ(菱)【ヒシ】

ヒシ科の一年生水草。北海道〜九州,東アジアに分布。泥中に根があり,茎は長く,先端に葉が車座に集まってつく。葉柄は長く,一部が太くなって空気を入れ,浮袋の役をする。葉は菱形で鋸歯(きょし)があり,光沢がある。7〜9月,葉間から細長い柄をのばし,水面に径約1cmの白色の4弁花を開く。果実は扁平で,両端にはとげがあり,食用となる。近縁ヒメビシは日本特産で,葉や果実は小さく,果実には4本のとげがある。

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