バッタケーラ(英語表記)Vaṭṭakera

改訂新版 世界大百科事典 「バッタケーラ」の意味・わかりやすい解説

バッタケーラ
Vaṭṭakera

ジャイナ教空衣(くうえ)派(裸行派)の学僧。生没年代は不詳だが,クンダクンダ(5~6世紀)より前とみられる。空衣派は白衣(びやくえ)派聖典権威を否定し,新たに古伝書,宇宙論書,哲学(教理綱要)書,および儀礼(修道論)書の4部門からなる聖典を俗語で編纂したが,バッタケーラはこのうち最後の部門に含まれる《ムーラーチャーラ》と《トリバルナーチャーラ》の2書の編纂者として,新たな聖典の成立に貢献した人物である。とくに《ムーラーチャーラ》は空衣派で重んじられる基本的な修道論書となった。バッタケーラは同派の伝承していた古い聖典をもとに編集したという。しかし現存の白衣派聖典との間に著しい対応関係のあることが知られており,結果的には,彼の編んだ聖典は白衣派の伝承の古さと由緒の正しさを教える動かぬ証拠を提供するだけのものとなった感がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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