ハラジロカマイルカ(英語表記)Lagenorhynchus obscurus; dusky dolphin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハラジロカマイルカ」の意味・わかりやすい解説

ハラジロカマイルカ
Lagenorhynchus obscurus; dusky dolphin

クジラ目ハクジラ亜目マイルカ科カマイルカ属。最大体長は約 2.1m。体重は 40~80kg。出生体長は 55~70cm。背部は黒色腹部は白色か淡いねずみ色。口唇に沿って,吻端から口角まで黒色を呈する。体側後方に尾柄部から背鰭 (せびれ) 下方に向う白色帯があり,この帯は途中でふたまたに分れる。尾柄部のキール (稜状の隆起) は黒色。背鰭の前縁部分は黒色で,後縁部分は白色または淡灰色を呈する。体型は紡錘形。噴気孔は1個で頭部正中線上にある。嘴 (くちばし) は短く幅が狭いが,前頭部との境ははっきりしている。尾柄部は急に細くなっており,上下のキールは著しい。背鰭は体の中央に位置し,高く,鎌状で後方へ傾き,先端はとがる。上下顎骨に先端がとがった小さい円錐歯が左右 26~36対ある。社会性ならびに集団性が高く,通常 20~500頭の群れで行動するが,ときどき 1000頭をこえる大群をなす。また多種にわたるクジラ類と混群をつくる。活動的で,交互に追いかけたり,船首波に乗って頻繁に遊ぶ。ニュージーランドアルゼンチンでは 11月~2月が出産期である。食性範囲が広く,ミナミカタクチイワシや中層性および深海性のハダカイワシ類,スルメイカ類などを捕食する。南半球に広く分布し,大陸棚とその斜面に生息する。沿岸性。ニュージーランドやペルーでは,刺網により毎年大量に混獲されている。

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