ノツケ(読み)のつけ

日本歴史地名大系 「ノツケ」の解説

ノツケ
のつけ

漢字表記地名「野付」のもとになったアイヌ語に由来する地名。コタン名のほか岬名・湾名としても記録されている。天保郷帳には「子モロ持場」のうち「ノツケ」とみえ、当地一帯は近代に入り野付のつけ村に包含された。仮名表記は「ノツケ」が多いが、古くは「のしけ」(津軽一統志)、「のつけ」(寛政蝦夷乱取調日記)もみられる。漢字表記は「野付」(児山「蝦夷日記」)、「能津家」(行程記)がある。語義について「東行漫筆」に「顔のあごの事をノツケと云、出崎と云事」(文化六年四月二三日条)、「地名考并里程記」に「夷語ノツケウなり。則、頤といふ事。昔時、此所へ大きなる鯨流れ寄て、其頤此崎となる故、字になすといふ」とある。

津軽一統志」のシャクシャインの戦の記録に「みむろより出、のしけへ着。此間海上四、五里程」「是よりらつこ島くなしりへ渡り申候(中略)右ののしけとくなしりとの間は入海にて御座候」とあり、当時からクナシリ(国後)島方面への渡海口であった。クナシリ・メナシ蜂起の際には「立火飛脚の場」として「のつけにて合火」(寛政蝦夷乱取調日記)とみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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