ニュー・メキシコ(読み)にゅーめきしこ(英語表記)New Mexico

翻訳|New Mexico

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニュー・メキシコ」の意味・わかりやすい解説

ニュー・メキシコ
にゅーめきしこ
New Mexico

アメリカ合衆国南西部の州。面積31万5113平方キロメートル、人口181万9046(2000)。北はコロラド州、東はオクラホマ州とテキサス州、南はテキサス州とメキシコ、西はアリゾナ州に接する。州都サンタ・フェ。州の東部はグレート・プレーンズで、平原が広がり、中央部はロッキー山脈の延長部分が南北に走る。中央部の山脈の西側をリオ・グランデ川が南北に流れ、その西側はコロラド高原となる。州の南西部にはサボテンの散在する半乾燥の平原が広がる。気候は半乾燥で、アルバカーキの年降水量は260ミリメートル、1月の平均気温は2℃、7月の平均気温は26℃である。降水量が少なく、灌漑(かんがい)された地域も限られているため、農地のほとんどは肉牛ヒツジ放牧地である。州の北西部のサン・フアン川と東部のペコス川の水が灌漑に利用されるが、エレファント・ビュート・ダムやカバロ・ダムのあるリオ・グランデ川流域がもっともよく灌漑され、そこで綿花、小麦、ソルガムタマネギなどが栽培される。鉱業では、全米一の産出額のウラン鉱、カリウム鉱をはじめ、マンガン鉱、岩塩、銅、モリブデン天然ガスなどの産出が多い。アルバカーキの周辺には食品加工、電気機器、衣類、化学製品などの工業が発達してきた。第二次世界大戦後、軍事施設や原子力研究機関が設置され、アルバカーキ、ロス・アラモスには原子力エネルギー研究所がある。

 スペイン人が到達する以前はリオ・グランデ川流域にプエブロ人が定住していた。16世紀初期からスペインによる探検が行われ、1598年にはサン・フアンに最初の集落が建設された。1610年には植民地の中心としてサンタ・フェができ、先住民の集落には伝道教会がつくられた。1821年にメキシコがスペインから独立すると、ニュー・メキシコはメキシコの一部となり、サンタ・フェ・トレイルを利用して合衆国との交易が始まった。1846年のメキシコ戦争の結果、48年に合衆国領となる。80年サンタ・フェ鉄道が通じ、ウシの放牧が盛んになった。現在アルバカーキは保養地として知られており、カールズバッドは世界最大の鍾乳洞(しょうにゅうどう)として観光客を集めている。1912年に合衆国47番目の州となった。

[菅野峰明]


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