ダマジカ(英語表記)fallow deer
Cervus(=Damadama

改訂新版 世界大百科事典 「ダマジカ」の意味・わかりやすい解説

ダマジカ
fallow deer
Cervus(=Damadama

先が手のひら状に広がった特異な扁平な角をもつヨーロッパ・小アジア産のシカ。偶蹄目シカ科の哺乳類。耳が短く,尾は長い。体色は夏毛ではふつう赤褐色の地に白い斑点があり,冬毛では灰褐色。ただし,変化に富みほとんど黒色から白色まである。角は雄のみにあり,先の扁平な部分は,ヘラジカの角に似るが,根もとの部分は他のシカ類同様枝分れする。体長130~175cm,尾長15~23cm,体重40~100kg。下生えのよく茂る森林に好んですみ,早朝と夕方から夜にかけ活動して,草や木の葉,果実を食べる。昼間は木陰などで反芻はんすう)するか,あるいは眠る。雌雄別々の群れで生活し,秋の交尾期のみ雄が雌の群れの行動圏に入る。出産期はおもに6月。雌は妊娠期間約230日で,1産1子を生む。南北アメリカ,オーストラリア,ニュージーランドなどに移入され,野生化している。公園などで飼われているものには,全身白色,あるいは黒色のものがしばしば見られる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダマジカ」の意味・わかりやすい解説

ダマジカ
だまじか
fallow deer
[学] Cervus dama

哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目シカ科の動物。ファロージカともいう。同科ダマジカ亜属の中形のシカで、体長130~140センチメートル、肩高80~90センチメートル、体重30~85キログラム。体つきはがっしりしている。角(つの)がほかのシカと異なり、第3枝が手のひら状に広がっている。夏毛は赤褐色に小白斑(はくはん)を有するが、冬毛では灰褐色となり、白斑は消える。環境適応力に富み、原産地のヨーロッパや小アジアのほか、アメリカ、アフリカ南部、オーストラリア、ニュージーランドなどに移入され、各地で増殖している。人為的な繁殖の結果、白色や黒色のものもある。ヨーロッパの公園では、もっとも普通にみられる動物の一つである。発情期は10月、7~8か月の妊娠期間を経て、初夏に普通1子、ときに2、3子を産む。寿命は15年ほどである。

 ダマジカ亜属にはヨーロッパに広く産するダマジカのほかに、イランダマジカC. mesopotamicaがある。ダマジカより体格は大きく、肩高105センチメートルになり、体重200キログラムに達する。角はやや平たいが、ダマジカのように手のひら状にならず、枝分れしている。かつてはシリアパレスチナイラク、エチオピア北部にまで分布したが、現在はイラン南部の限られた地域少数が生息しているだけである。

増井光子


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