ダイセン(英語表記)Dithane

改訂新版 世界大百科事典 「ダイセン」の意味・わかりやすい解説

ダイセン
Dithane



ジチオカーバメート系殺菌剤で,ジネブzineb(エチレンビス(ジチオカーバメート)亜鉛)の商品名。黄色の吸湿性結晶で,ウリ類の炭疽たんそ)病,疫病アブラナ科黒斑病白斑病,べと病,ネギ類のべと病,黒斑病,銹(さび)病,イチゴの灰色かび病など野菜類の病害の防除に用いられる。類似の構造ならびに殺菌活性を有するマンネブ(商品名マンネブダイセン),マンゼブ(商品名ジマンダイセン),アンバム(商品名ダイセンステンレス),ポリカーバメート(商品名ビスダイセン)などの殺菌剤も広く使用されている。これらは細胞のエネルギー代謝をはじめ,生体における生化学反応において重要な役割を果たしているSH酵素の活性を阻害することによって殺菌力を示す。ダイセンの哺乳類に対する急性毒性は,50%致死量LD50=5000mg/kg(ラット経口)である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダイセン」の意味・わかりやすい解説

ダイセン
Dithane

ジネブまたはナーバムを有効成分とする農業用殺菌剤の商品名。ジネブはナーバムに塩化亜鉛硫酸亜鉛を作用させ沈殿物を採取したもので,ジチオカルバメート剤のなかで最も進んだ形のもの。水和剤 (60%) と粉剤 (3.9%) があり,うり類のべと病,トマトの疫病,輪紋病白菜の黒斑病,白斑病,べと病,ねぎのべと病,黒斑病,麦の銹病,その他野菜,果樹,花卉の諸病害に対し,水和剤 400~650倍液,粉剤 10aあたり3~5kgを散布する。薬害は小さく,ボルドー液より殺菌力が強い。

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