ソン・コイ川(読み)そんこいがわ(英語表記)Song Coi

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソン・コイ川」の意味・わかりやすい解説

ソン・コイ川
そんこいがわ
Song Coi

ベトナム北部を流れる川。別称にホン川、ニーハウ川があり、また川の水が鉄分を含み赤みを帯びるため紅河Red Riverともよぶ。中国の雲南省中部の山地に源を発し、南東に流れ、ラオカイ付近でベトナムに入り、首都ハノイを通りトンキン湾へ注ぐ。全長約1200キロメートル、うちベトナム国内は約600キロメートル。流域面積は約12万平方キロメートル。上・中流の河道がほとんど直線状になっているのが特色で、このため洪水が多く日本の河川と似た性格をもつ。ハノイから河川が分岐しソン・コイデルタを形成する。流域はベトナム北部の経済活動の中心地帯で、北の分流河口にはハイフォン港がある。ソン・コイ・デルタはトンキン・デルタともいい、約150万ヘクタールの水田の広がるベトナム北部の穀倉地帯である。年平均気温23.3℃で、インドシナ半島としてはやや低く、とくに1月は平均15.6℃でしのぎやすい。年降水量は約1600~1700ミリメートルで5~10月が雨期である。ソン・コイ川の洪水が激しいので輪中(わじゅう)方式で治水を行っている。東南アジアのデルタは一般に開発歴史は新しいが、この地の開発は紀元前からの歴史をもつ。世界でも有数の人口稠密(ちゅうみつ)地帯で一戸当りの耕作面積は狭い。

[大矢雅彦]

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