スコッツボロ事件(読み)すこっつぼろじけん(英語表記)Scottsboro Case

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スコッツボロ事件」の意味・わかりやすい解説

スコッツボロ事件
すこっつぼろじけん
Scottsboro Case

アメリカ合衆国南部のアラバマ州で1931年に起こった黒人少年に対するでっち上げ裁判事件。13歳の最年少者を含む9名の若い黒人が、貨物列車内で2人の白人女性を強姦(ごうかん)したかどで逮捕投獄され、ただちに死刑判決を受けた。この裁判を、人種差別体制を象徴する事件だと考えた共産党は、全国黒人向上協会(NAACP)とともに無罪釈放運動に取り組み、国際的な問題にした。「被害者」自身が強姦の事実を否定、連邦裁判所が裁判のやり直しを命じ、大統領が釈放を要請したにもかかわらず、結局、アラバマ州裁判所は最高99年という長期刑を言い渡した。しかし妥協成立、50年までには全員が釈放された。

上杉 忍]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android