シモン(魔術師)(読み)しもん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シモン(魔術師)」の意味・わかりやすい解説

シモン(魔術師)
しもん

サマリア魔術師で、通称「魔術師シモン」Simon Magus。魔術を行ってサマリアの人々を驚かせ、「彼は神の力だ。大能とよばれる神の力だ」といわれていた。使徒ピリポの手で受洗する。しかし、聖霊を授ける力を金で買おうとして、使徒ペテロヨハネにたしなめられた(「使徒行伝(ぎょうでん)」8章9~24)。外典『ペテロ行伝』では、ユダヤを追われたシモンがサタンの遣わした魔術師としてローマに赴き、その地でペテロと奇跡による戦いを展開する。最初の異端者、グノーシス派の祖とされ、4世紀まで彼の信者がいた。

市川 裕]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android