シジミタテハ

改訂新版 世界大百科事典 「シジミタテハ」の意味・わかりやすい解説

シジミタテハ

鱗翅目シジミタテハ科Riodinidaeに属する昆虫総称。小型のチョウで開張1.4~6.5cm。世界に約1000種が知られ,その大部分は新大陸に分布し,日本には産しない。シジミチョウ科に近縁であるが,タテハチョウ科との類縁を示す特徴も見られる。南アメリカ熱帯には赤,黄,緑,青などの金属光沢に輝く美しい種が多く,なかには数本の長い尾状突起をもつものや,翅の大部分が透明になったものもある。大部分の種は森林生であるが,一部に草原生のものも含まれている。成虫習性はさまざまで,タテハチョウ科のようにはばたきと滑翔(かつしよう)とを交互に繰り返すもの,ジャノメチョウ科のように翅を半開きにして小刻みな開閉運動を行うもの,灌木茂みに潜り込んで細枝に止まるもの,翅を開いたままで葉の裏面に止まるものなどがある。卵,幼虫はシジミチョウ科のものによく似ているものが多い。さなぎにはシジミチョウ科のように帯糸をもつものや,タテハチョウ科のように腹端で懸垂するものがある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シジミタテハ」の意味・わかりやすい解説

シジミタテハ
Riodinidae

鱗翅目シジミタテハ科の昆虫の総称。シジミチョウに近縁の小~中型のチョウで,タテハチョウに似た点もある。シジミチョウ科とは後翅形状や雄前肢の特徴で区別される。中央・南アメリカに多く,東洋熱帯とアフリカにかなりの種が知られるが,日本にはまったく産しない。台湾にはアリサンシジミタテハ Abisara burniiとシジミタテハ Dodona eugenesの2種を産する。

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世界大百科事典(旧版)内のシジミタテハの言及

【チョウ(蝶)】より

…幼虫がニレ科のエノキ類を食べることは共通している。(10)シジミタテハ科 小型種が多く名まえのようにシジミチョウとタテハチョウの両方に似た形質をもっているが,よりシジミチョウに近いと考えられる。翅の形には変化が多く色彩も多様で美しいものが多い。…

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