グラーフ(Arturo Graf)(読み)ぐらーふ(英語表記)Arturo Graf

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

グラーフ(Arturo Graf)
ぐらーふ
Arturo Graf
(1848―1913)

イタリアの文芸評論家、詩人。大学教授としてトリノに住み、雑誌『イタリア文学史研究』を創刊し、その編集のかたわら、『レオパルディ論』(1898)、『18世紀イタリアにおけるイギリス賛美』(1911)など、作家論や文化論を著した。初めは実証的な唯物論にたっていたが、晩年には逆にキリスト教信仰に依拠した。揺れ動く精神の苦悩のなかで数々の詩集を残した。代表作は『メドゥサ』(1880)。それゆえ、改宗基軸に歴史小説を書いたロマン主義の大作家マンゾーニを再評価した。その意義は大きい。

[山本まゆみ]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例