日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
キングストン(ジャマイカ)
きんぐすとん
Kingston
西インド諸島、ジャマイカの首都。ジャマイカ島の南東部、プルモ岬に囲まれた入り江の北岸に位置する。西インド諸島最大の港湾都市。人口57万7300(2001推計)。1655年イギリスのジャマイカ占領後、植民地経営の基地としてプルモ岬の先端にポート・ロイヤルが建設されたが、1692年の地震によって破壊され、その後に現在の市街が建設された。18世紀には奴隷貿易の中継地として繁栄、1872年首都となった。当時人口2万9000を数えるにすぎなかったが、20世紀に入り急速に増加した。1907年にも地震の被害を受けたが、都市計画の行き届いた近代的都市に再建された。鉄道の起点となっており、後背地の農業地帯で産出されるサトウキビ、コーヒー、ココナッツ、バナナのほか、ボーキサイト、アルミナなどが港から積み出される。同国の主要な工業地帯でもあり、食品加工業、たばこ、繊維工業などが発達。また近年成長の著しい観光業の基点でもある。東郊には1949年創設の西インド大学がある。
[栗原尚子]