日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
キング(Gregory King)
きんぐ
Gregory King
(1648―1712)
イギリスの政治算術派の統計学者。イングランドのリッチフィールドに生まれ、ロンドンに出て製図、測量などの技術を学び、1677年に紋章官となり、のち徴税監督官ともなった。紋章学についての著作もあるが、彼を有名にしたのは『イングランドの状態についての自然的政治的観察と結論』Natural and Political Observations and Conclusions upon the State and Condition of England(1696)で、ここで彼は、イングランドとウェールズの人口、所得、地価、生産量などの推定を行ったが、この書物は今日の国民所得論の先駆をなすものといわれ、また当時の経済状態を知る貴重な資料ともなっている。ほかに『イングランドの海上貿易』Of the Naval Trade of England(1697)などの著書もある。なお、穀物の収穫高と穀物価格との変動の関係を定式化した「キングの法則」によっても知られている。
[浜林正夫]
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