キリンウミヘビ(読み)きりんうみへび(英語表記)giraffe-spotted snake eel

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キリンウミヘビ」の意味・わかりやすい解説

キリンウミヘビ
きりんうみへび / 麒麟海蛇
giraffe-spotted snake eel
[学] Chauligenion camelopardalis

硬骨魚綱ウナギ目ウミヘビ科に属する海水魚。沖縄の西方東シナ海に分布する。2016年にアメリカと日本の魚類研究者マッコスカーJohn Edward McCoskerと岡本誠(おかもとまこと)によって、1個体に基づいて新属新種として記載された。本標本は体長約41センチメートルで、熟卵をもった雌である。水深150メートルにすんでいた個体が、底引網でとらえられた。体は伸長し、頭部と躯幹(くかん)部(胴部)は円筒形で、尾部は側扁(そくへん)する。頭長は全長の8.3%、尾部は53%。吻(ふん)は鋭くとがり、腹面の中央に溝がない。目は普通大で、頭長のおよそ11分の1。目の中央は上顎(じょうがく)の後部3分の1の上方に位置する。前鼻孔(ぜんびこう)は上唇の上方にあり、前背方に小さな皮弁(皮質突起)がある。後鼻孔は上顎の後部3分の2の上方で、上唇の中に開き、皮褶(ひしゅう)(皮膚のしわ)で覆われてはっきりとしない。口は大きく、口裂の後端は目をはるかに越えて後方に伸びる。上下両顎は延長し、完全に閉じることができる。下顎は吻端をわずかに越える。両顎に小さな円錐歯(えんすいし)の歯帯がある。上顎の前端の歯はもっとも大きく、6~7列に不規則に並ぶ。鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)には小さい25本の歯が1列に並ぶ。頭部の感覚孔は小さいが明瞭(めいりょう)。側線孔はおよそ171個。鰓孔(さいこう)は胸びれ基底の前方に垂直に開き、眼径の約2倍。背びれは鰓孔の上方から、臀(しり)びれは肛門(こうもん)の後方から始まり、両ひれは尾端から前に頭長の2分の1ほどの長さで終わる。背びれと臀びれはきわめて低い。尾びれ、胸びれおよび腹びれはない。体は一様に黄褐色で、目あるいはそれよりわずかに小さい褐色の斑紋(はんもん)が2列に並ぶ。上列には約70~75個あり、背中線を越えない。下列の斑紋は上列のものより小さく、より多く、側線に沿って並んでいる。

[尼岡邦夫 2019年6月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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