キョウオウ(読み)きょうおう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キョウオウ」の意味・わかりやすい解説

キョウオウ
きょうおう / 姜黄
[学] Curcuma aromatica Salisb.

ショウガ科(APG分類:ショウガ科)の多年草。ウコンによく似た植物であるが、ウコンの葉は無毛であるのに、これは葉の裏面に伏毛があること、ウコンは秋に葉鞘(ようしょう)(偽茎)の中から穂状花序が出てくるのに、これは春に葉鞘の横から花序を出す点で区別できる。根茎の外面は淡黄色、内面は橙赤(とうせき)色で、ウコンと同じ黄色色素クルクミンを含有しているので、薬用としてはウコンの代用にされ、インドでは打撲捻挫(ねんざ)のときに外用剤として用い、中国では胸腹痛、胃痛月経痛、食欲不振、熱射病黄疸(おうだん)などに用いる。しかしカンファー樟脳(しょうのう))を含有していて、そのにおいのため調味料にされることはない。熱帯アジア原産で、インドの東部と南部、中国の中南部で栽培されている。春に黄色花を開くのでハルウコンともいう。現代中国では生薬(しょうやく)市場での通用名としてウコンを姜黄とし、キョウオウを郁金(鬱金(うこん))としている。このように、日本と中国で通用名が異なるため、両者は同一に扱われることが多い。

[長沢元夫 2019年6月18日]

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