デジタル大辞泉 「オリオン」の意味・読み・例文・類語
オリオン(Ōrīōn)
(Orion)
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ギリシア神話の巨人にして美男の狩人。海神ポセイドンの子。キオス島の王オイノピオンOinopiōn(酒顔の意)の娘メロペMeropēに求婚したが,その粗暴なふるまいを憎んだ王は,巨人が酒に酔って眠りこけているあいだにその両眼をつぶし,彼を浜辺にうち棄てた。しかし太陽の昇る地点で目を陽光にさらすべしとの神託をうけたオリオンは,父神から水上を闊歩(かつぽ)する力を授かっていたので海を渡ってレムノス島へ行き,そこで鍛冶の神ヘファイストスの工人ケダリオンKēdaliōnを道案内に請い受け,彼に東方へ導かれて視力を回復した。その後,王に復讐すべく再びキオス島へ渡ったものの,島民が王を地下の穴倉にかくまったために仇討がかなわず,クレタ島で女神アルテミスと狩りをして暮らした。この先,彼の最期についてはさまざまの伝承がある。2人の仲を心配した兄神アポロンが妹のアルテミスをだまして,沖で遊泳中のオリオンを遠矢で殺させたとする説,オリオンがアルテミスを犯さんとしたため女神に射殺された,あるいは女神の放ったサソリに刺されて死んだとする説,さらには,オリオンは曙の女神エオスに恋人としてさらわれたが,それが他の神々の不興を招いたため,デロス島でアルテミスに射殺されたとする説等である。死後,彼は天に上げられて星となり,アトラスの七人娘プレイアデス(すばる)を追いかける一方,みずからはつねにさそり座の星から逃れようとしているという。
執筆者:水谷 智洋
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…ギリシア神話で,ティタン神アトラスとプレイオネPlēionē(オケアノス〈大洋〉の娘)の7人の娘,アルキュオネAlkyonē,メロペMeropē,ケライノKelainō,エレクトラĒlektra,アステロペAsteropē,タユゲテTaygetē,マイアMaia(伝令神ヘルメスの母)の総称。彼女たちはその母とともにボイオティア地方の森の中で,狩人のオリオンに5年にわたって追われつづけたため,これを憐れんだゼウスが母娘も追手もともに天に上らせ,オリオンを犬を連れた狩人の星に,娘たちをそのオリオン星から逃れようとする7羽の鳩(古代ギリシア語でペレイアデスpeleiades)の星(和名は昴(すばる))に化したという。プレイアデスの名はのちにプトレマイオス2世(前3世紀)治下のアレクサンドリアに集まった多くの悲劇詩人のうち,リュコフロンらの特にすぐれた7人の称として用いられた。…
※「オリオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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