日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウティカ」の意味・わかりやすい解説
ウティカ
うてぃか
Utica
北アフリカ、現在のチュニジア北部、メジェルダ川(古名バクラダス川)河口にあった古代都市。フェニキア人の植民活動によって創設された港湾都市としてカルタゴ帝国下に繁栄し、最古期の遺跡は紀元前8世紀までさかのぼることができる。第3回ポエニ戦争(前149~前146)の際にカルタゴに対抗してローマを支援したことから、カエサルによるカルタゴ市の再建まではローマの北アフリカ属州の首府であった。反カエサル派の共和政信奉者小カトーがこの地で自殺したことは有名な事件である。帝政期の都市制度上では、アウグストゥス帝のもとでムニキピウム(自治市)となり、ハドリアヌス帝の治世にはコロニア(植民市)に昇格している。
[本村凌二]