ウィンドワード諸島(読み)うぃんどわーどしょとう(英語表記)Windward Islands

改訂新版 世界大百科事典 「ウィンドワード諸島」の意味・わかりやすい解説

ウィンドワード[諸島]
Windward Islands

西インド諸島東部,小アンティル諸島の南半部の島群。北のリーワード諸島と南のベネズエラの間にほぼ南北に連なる。北からフランス領マルティニク島,近年イギリス自治領から独立したセントルシア(1979),セントビンセントおよびグレナディン諸島(1979),グレナダ(1974)などを含む。火山島が多く山がちで起伏に富んでいる。バナナ香辛料などの熱帯農産物を輸出し,観光地としても成長している。なお,ポリネシアのソシエテ諸島の一部(タヒチ島など)も,ウィンドワード諸島と呼ばれる。
アンティル[諸島]
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウィンドワード諸島」の意味・わかりやすい解説

ウィンドワード諸島
うぃんどわーどしょとう
Windward Islands

カリブ海東部、小アンティル諸島南部の列島マルティニーク島(フランス領)、およびグレナダ島、ドミニカ島、セント・ルシア島、セント・ビンセント島などからなる。小アンティル諸島の北部はリーワード(風下)諸島、南部はウィンドワード(風上)諸島とよばれるが、この地域の風向きを示しているわけではない。この地域で卓越する貿易風は北東あるいは東から吹く。大部分の島は火山島で山がちである。貿易風の影響を受けて、風上斜面は雨量が多く森林に覆われている。低地肥沃(ひよく)な土壌を利用し、輸出用のサトウキビ、バナナ、スパイス、カカオが栽培される。もっとも重要な産業は観光である。

[菅野峰明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウィンドワード諸島」の意味・わかりやすい解説

ウィンドワード諸島
ウィンドワードしょとう
Windward Islands

西インド諸島東部,小アンティル諸島南東部の島群。北緯 15°以南,北からマルティニーク島,セントルシア島,セントビンセント島グレナディーン諸島,グレナダ島から成る。熱帯貿易風帯にあり,概して東斜面は多雨で熱帯雨林におおわれるが,風下の西斜面は乾燥し,疎林になっている。主産業は農業で,ほかに林業,漁業も行われるが,近年観光業が重要となりつつある。ウィンドワードは「風上の」の意であるが,これは東からの貿易風に対して,北のリーワード (「風下の」の意) 諸島より風上にあることから名づけられた。

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世界大百科事典(旧版)内のウィンドワード諸島の言及

【アンティル[諸島]】より

… ヨーロッパでは,中世から大西洋の向こうにはアンティリアAntiliaと呼ばれる土地があると想像されていたが,コロンブスの新世界発見後,スペイン人がハイチをアンティリアにあて(1493),1502年の地図では諸島をスペイン語でアンティリャスAntillasと呼んだ。また小アンティル諸島のうちグレナダから北西にある島々は貿易風の恵みをうけるのでバルロベントBarlovento諸島,英語でウィンドワード諸島と呼び,ベネズエラ沖の島々をソタベントSotavento諸島(〈風下〉の意),英語でリーワード諸島と呼んでいる。スペイン人はおもに大アンティル諸島を征服・植民したが,小アンティル諸島では原住民を奴隷として徴発するばかりで,ほとんど植民を行わず,その後イギリス,フランス,オランダなどが進出した。…

【ソシエテ[諸島]】より

…サンゴ礁に囲まれた火山島が多い。諸島はさらに東部の風上群島Îles du Vent(ウィンドワード群島)と西部の風下群島Îles Sous le Vent(リーワード群島)の二つのグループに分けられる。フランス領ポリネシアの主都パペエテがある諸島中最大のタヒチ島やモオレア島,マイアオ島,テティアロア島,メヘティアMehetia島が風上群島に属し,風下群島には太平洋で最も美しいといわれるボラ・ボラBora Bora島のほか,ライアテアRaiatea島,フアヒネHuahine島,マウピティMaupiti島といくつかの環礁が含まれる。…

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