イ・キヨン(李箕永)(読み)イ・キヨン(英語表記)Yi Kiyǒng

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イ・キヨン(李箕永)」の意味・わかりやすい解説

イ・キヨン(李箕永)
イ・キヨン
Yi Kiyǒng

[生]李太王33(1896).5.6. 忠清南道,牙山
[没]1984.8.9. 平壌
北朝鮮の作家。号,民村。貧農の生れで,苦学して4年制の私立学校を出て,以後朝鮮各地を転々として労働,1922年に渡日して正則英語学校に学んだが関東大震災の直後に帰国。 24年,短編『兄のかくし文』が文芸誌『開闢』の懸賞に3等で入選し,『貧しき人々』 (1924) で新傾向派と呼ばれた初期プロレタリア文学の新人作家として認められた。 25年8月カップ創立に参画し,出版部の責任者となった。 32年,代表作の一つである『故郷』を発表。 34年「第2次カップ事件」と呼ばれる弾圧で2年間下獄。出獄後も『新開地』 (38) ,『春』 (40) など多くの作品を発表したが,日本の帝国主義御用文学の奨励に抗して,44年山村にこもって筆を折った。 45年の解放後は積極的に創作活動を行い,2部作『大地』 (48発表,74改作) ,3部作『豆満江』 (54~64) などの大作で朝鮮人民の反日民族解放闘争と社会主義建設の歴史を形象化した。 15巻から成る選集がある。朝鮮文学芸術同盟委員長,最高人民会議代議員を歴任

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