イスマーイールの墓廟(読み)イスマーイールのぼびょう

改訂新版 世界大百科事典 「イスマーイールの墓廟」の意味・わかりやすい解説

イスマーイールの墓廟 (イスマーイールのぼびょう)

ウズベキスタン共和国ブハラの北西部に位置する墓廟。〈サーマーン家の墓廟〉とも呼ぶ。サーマーン朝の唯一の遺構で,イスラム時代の墓廟としては最も古いもののひとつ。建立は10世紀の初期で,同朝第2代イスマーイールIsmā`īlをはじめとする王子たちの墓所として使われたと考えられる。四方にそれぞれ開口部をもつ,9.0m×9.3mのほぼ正方形に近いプランで,半球形の大ドームを中央に,その周囲に装飾的な小ドームを4基載せる。墓廟内部は,壁体からドームに移行する部分を,四隅にアーチを設けて正方形から八角形に,さらに十六角形にすることによってドームの基部にスムーズに接続させている。四壁の焼成煉瓦は文様積みになっており,陰影の効果を十分考えて,いわゆる〈斜子(ななこ)織〉や籠目のような変化に富んだパターンを巧みに表現している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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