アダム様式(読み)アダムようしき(英語表記)Adam style

改訂新版 世界大百科事典 「アダム様式」の意味・わかりやすい解説

アダム様式 (アダムようしき)
Adam style

イギリスの新古典主義建築家アダム兄弟が確立した室内装飾様式。イギリスの伝統的な古典趣味をもとに,古代ローマやエジプト,エトルリア風の建築,装飾の各要素を組み合わせた独創的なもので,18世紀後半に流行天井や壁をスタッコ仕上げして明るい彩色を施し,各部分に精緻な比例を用いた軽快で華麗な構成が特徴。建築はもとより,家具調度品から食器まで統一した意匠を貫く。厳格な比例と重厚な装飾のパラディオ様式に代わる意匠として流行し,フランスやアメリカにも伝わる。アダム兄弟が設計したサイアン・ハウスのロングギャラリー(1769)などが代表作
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アダム様式」の意味・わかりやすい解説

アダム様式
アダムようしき
Adam style

18世紀後期イギリスの建築家 R.アダム繊細,軽快,優雅な古典様式を基本とした室内装飾の様式。彩色装飾の入念な仕上げと,浅いスタッコ装飾をきわだった特色とするほか,カーペットから金具にいたるまで,室内のすべての要素に細心の注意が払われている。代表作はヘアウッド・ハウス,オスタリー・パーク,ケドルストン・ホールケンウッド・ハウスの室内装飾で,いずれも 1760年代および 70年代の作である。

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「アダム様式」の解説

アダムようしき【アダム様式】

18世紀イギリスの建築家アダム兄弟が創案した室内装飾や家具の様式。イギリスの伝統に古代ローマなどの装飾手法を組み合わせたもので、浅い浮き彫りの古典モチーフが特徴。竪琴(たてごと)形の背もたれの椅子(いす)で知られる。

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世界大百科事典(旧版)内のアダム様式の言及

【ジョージアン様式】より

…18世紀中期以降,ヨーロッパ大陸のロココ趣味の波が及ぶと,それに付随した中国趣味(シノアズリー)や,ゴシック趣味(ゴシック・リバイバル)などもさかんに行われた。こうしてこの時代の後半にはロココ,中国趣味,ゴシック,ギリシアなどのさまざまの様式を折衷したデザインが流行することになるが,この傾向を個性的に総合した新古典主義的作品が建築家R.アダムによって実現し,その名をとってアダム様式と呼ばれた。ロンドンのホーム・ハウス(現,コートールド研究所)はその絶頂を示すものである。…

※「アダム様式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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