アカバナ(多年草)(読み)あかばな

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アカバナ(多年草)」の意味・わかりやすい解説

アカバナ(多年草)
あかばな / 赤花
[学] Epilobium pyrricholophum Fr. et Sav.

アカバナ科(APG分類:アカバナ科)の多年草山野の水湿地に生える。茎は高さ15~90センチメートル、稜線(りょうせん)はなく、腺毛(せんもう)がある。茎の基部から葉をつけた長い走出枝を出す。葉は対生し卵形または卵状披針(ひしん)形で、長さ2~6センチメートル、幅0.5~3センチメートル、基部は幅広くわずかに茎を抱く。花期は7~9月、茎上部の葉腋(ようえき)に紅紫色で長さ5~10ミリメートルの花を開く。萼片(がくへん)、花弁とも4枚、雄しべは8本、雌しべ1本で花柱の先端は棍棒(こんぼう)状。果実は長さ3~8センチメートル、柱状で腺毛があり、熟すと4裂する。種子は長さ1.5~1.8ミリメートルで、上端に長い赤褐色の冠毛がある。北海道から九州まで生育し、朝鮮、中国にも分布する。名は秋にその葉が紅紫色を帯びることによる。アカバナの類は日本に種類が多く、約14種が知られ、花柱の先端の形態で3群に分類される。(1)アカバナのように棍棒状になるものに、シロウマアカバナ、ミヤマアカバナ、ホソバアカバナ、ヒメアカバナなどがあり、(2)頭状になるものに、ケゴンアカバナイワアカバナ、(3)4裂するものに、エゾアカバナ、オオアカバナ、ヤナギランがある。ヤナギランは草丈が高く、花も大形、雄しべと雌しべが下向きになるため、別属に扱われることもある。

[小林純子 2020年8月20日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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