つり輪(体操競技)(読み)つりわ(英語表記)rings

日本大百科全書(ニッポニカ) 「つり輪(体操競技)」の意味・わかりやすい解説

つり輪(体操競技)
つりわ
rings

体操競技における男子器械種目の一つ(つり輪運動)。また、その器械名。床上(床面から)580センチメートルの高さの支柱から50センチメートル間隔で、ワイヤーと皮革帯で床上280センチメートルの高さに木製の輪が二つ吊(つ)り下げられたもの。輪の内径は18センチメートルで、ワイヤーの取り付け部位は、ねじれが生じないような装置で固定されている。体育館の天井から直接下げるものと、床上に支柱枠をワイヤーで固定する組立式のものがあるが、公式競技会では後者が使用される。使用するマットの厚さは20センチメートルである。

 つり輪の演技は、二つの輪を両手で握ったまま輪およびワイヤーを前後に揺らすことなく実施するもので、振動技(体を振る技)や回転技、倒立、力静止技(2秒静止)、振動からの力静止技(2秒静止)で構成される。かつては、全体を通して力技や振動技の偏りは演技構成上減点対象となっていた。2006年のルール改正以降、最低限実施しなければならない技の難度要求がなくなり、振動技、力技、静止技を組み合わせて演技構成することが要求されている。雄大な振動技と圧倒的な力技の表現は、体操競技男子種目のなかでもきわめて特徴的であり、力技(十字懸垂、中水平、十字倒立など)をいかに表現するかで優劣が決まる傾向がみられる。1896年の第1回オリンピック・アテネ大会よりオリンピック種目(種目別)となった。

[三輪康廣・後藤洋一 2020年2月17日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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