ず‐して
(打消の
助動詞「ず」に
助詞「して」の付いたもの。→
して(二)) 打消の中止法または連用修飾の働きをする。…ないで。…でなくて。…ないのに。ずて。
※
万葉(8C後)五・八七八「いひつつも後こそ知らめとのしくもさぶしけめやも君いまさ受斯弖
(ズシテ)」
※
方丈記(1212)「行く河の流れは絶えずして、しかも
もとの水にあらず」
[
語誌]
上代、「
万葉集」においては「ずして」五〇例に対して「ずて」の形が六〇例あり、ほぼ相半ばしているが、
中古、「ずして」は主として漢文訓読系の
文中に用いられ、仮名文学作品においては、
和歌や男性の
会話文などを除いてほとんどみられず、これに代わって「で」または中止法の「ず」が用いられている。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「ずして」の意味・読み・例文・類語
ず‐して
[連語]《打消しの助動詞「ず」の連用形+接続助詞「して」》…(し)ないで。…(で)なくて。…でないのに。「期せずして意見が合う」「巧まずして真理を語る」
「生ける間生を楽しま―」〈徒然・九三〉
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