しからば

精選版 日本国語大辞典 「しからば」の意味・読み・例文・類語

しから‐ば

〘接続〙 先行の事柄の結果として、後続の事柄が起こることを示す。
① 順態の仮定条件を示す。
(イ) そうであるならば。それならば。さらば。
※古事記(712)上「爾に伊邪那岐命(いさなきのみこと)詔りたまひしく、『然者(しからは)(あ)と汝(な)と是(こ)の天の御柱を行き廻り逢ひて、美斗能麻具波比(みとのまぐはひ)〈此の七字は音を以ゐよ〉為む』」
平家(13C前)一〇「三種の神器を宮こへ返しいれたてまつれ。しからば八嶋へかへさるべし」
(ロ) 別れのあいさつとして用いる慣用語。初めの例の「しからばおいとま」の「おいとま」のような語句が省略されて、感動詞的にも用いる。さらば。さようなら。
浄瑠璃心中宵庚申(1722)中「ハアそうじゃあやまったまっぴらと、ひたひをすり付身を悔やみ、しからばおいとま千世も同道いざお立ちやれ」
② 順態の確定条件を表わす。そうであるからには。だから。しかれば。〔日葡辞書(1603‐04)〕
[語誌]動詞「しかり」の未然形に接続助詞「ば」が付いたもの。①(イ) が原義上代から用例が見られる。中古では新しい語形「さらば」が和文系に用いられたのに対して、「しからば」は漢文訓読語として用いられた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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