しかすがに

精選版 日本国語大辞典 「しかすがに」の意味・読み・例文・類語

しか‐す‐がに

〘副〙 上の事柄を「そうだ」と肯定しながら、もう一つの事を付け加える意を表わす。それはそうだがしかし。そうはいうものの他方では。それはそうだがやはり。そんなはずではないのに。
万葉(8C後)五・八二三「梅の花散らくはいづく志可須我爾(シカスガニ)この城(き)の山に雪は降りつつ」
※後撰(951‐953頃)恋四・八七七「まどろまぬ物からうたてしかすがにうつつにもあらぬ心地のみする〈よみ人しらず〉」
[語誌](1)「しか」は副詞、「す」はサ変動詞で存在の意を表わし、「がに」は上の動詞が表わす事態が今にも実現しそうな様態程度であることを示す接続助詞。これらが結びついて一語化したもの。
(2)上代から用いられ「万葉集」には一二例ある。中古には「さすがに」に交代し散文には用いられなくなったが、和歌においては初句と第三句の五音中に用いられて、第二句と第四句の七音中に用いられる「さすがに」との相補分布が認められるという。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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