さしながら

精選版 日本国語大辞典 「さしながら」の意味・読み・例文・類語

さ‐し‐ながら

[1] 〘連語〙 (副詞「さ」に、動詞「す」の連用形「し」、助詞「ながら」の付いたもの。副詞的に用いる)
① =さながら(一)②
※宇津保(970‐999頃)内侍督「中将求むる使に、府の人も、さしながら里には行き」
② =さながら(一)③
拾遺(1005‐07頃か)賀・二八四「大空にむれたるたづのさしながら思ふ心のありげなる哉〈伊勢〉」
[2] 〘接続〙 =さながら(二)〔藻塩草(1513頃)〕
[語誌](1)(一)は、副詞「さ」の台頭に伴って中古以降に生まれたが、新語形の「さながら」が優勢となり、和文では挙例の「宇津保」以外は、「閉(さ)しながら」や「挿しながら」などと、掛詞を伴う歌語として用いられる程度である。
(2)(二)が実際に使われた例は見出しがたい。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報