おつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「おつ」の意味・わかりやすい解説

おつ
おつ / 乙

十干(じっかん)の甲(こう)に次ぐ第2番目のもの。「きのと」とも読む。もともと邦楽用語で、甲(かん)に対して一段低い、しんみりとした渋みをもつ音や調子をいうが、江戸時代になって、物事の状態、趣(おもむき)、道理といった意味ことばに転化され、さらに副詞、形容動詞的用法が加わり、かなり幅広い意味のことばとして使われだした。副詞「おつに」は「へんに、むやみに」といった意味として使われ、また「ちょっと変わった趣がある」「しゃれた味がある」といった「おつな」「おつだ」は現在でも多く使われている。

[棚橋正博]

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