デジタル大辞泉
「あだて」の意味・読み・例文・類語
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あだて
〘名〙
① 心当てにしていること。また、そのもの。見込み。めあて。あてど。
※絅斎先生敬斎箴講義(17C末‐18C初)「兎角敬には
相手を拵へ、
あだてを取て、それに倚
(より)かかりて、心の散ぬ様にせうと謂ことはない」
②
物事をするに当たっての方法・手段。または、その
資本。てだて。よすが。
※浄瑠璃・軍法富士見西行(1745)二「コレ盲人、傍に拡げし書付に、主を育(はごく)む質(アタテ)とあるが」
[
補注]「案立」から出た語か。「あてど」を転倒させた語「あどて」の音が変化した語ともいう。
あだて
〘名〙 江戸時代、九州などで使われた地方の
荷船。中世末期の古い廻船の名残りをとどめた、百石積みから七百石積みの荷船で、
船首を
伊勢船に似た箱形の戸立
(とだ)て造りとしたのが特徴。
形状の
類似から枕箱と俗称されたが、他の構造は標準的な三階造りで、
弁才船と
大差はない。
肥前、
筑後、
豊後地方に多く、
薩摩では同系の船を「あさってい」と呼んだ。
※和漢船用集(1766)四「あだて 字未考。肥前、豊後の方に有。薩摩にてあさっていとよぶものなるべし。四五百石、六七百石積の舟也。俗呼て、枕箱と云。前後戸立作りにて、其かたちの似たるを以云なるべし」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報