Gram 陽性球菌感染症

内科学 第10版 の解説

Gram 陽性球菌感染症(一般細菌感染症)

 Gram陽性球菌は,Gram染色でブドウの房様に見えるブドウ球菌と連鎖状に見える群がある.後者は,連鎖球菌だけでなく,腸球菌の場合もあるが,腸球菌は以前Streptococcus属に分類されていたこともある. Gram陽性球菌は,体表ならびに胸郭のレベルもしくはその頭側に定着しやすく,同様の部位に感染症を引き起こしやすい.皮膚軟部組織感染症,髄膜炎中耳炎副鼻腔炎,咽頭炎,肺炎などの起因菌としても重要である.感染が進展すると血中に侵入し,菌血症に至ることがある.また,血管に留置されているカテーテルに関連してGram陽性球菌による菌血症が起こることもある.菌血症が持続すると感染性心内膜炎へと発展することがある.さらに感染性塞栓が血流に乗って生着した部位で感染を起こし,脊椎炎,腸腰筋膿瘍,化膿性関節炎,脳梗塞などを合併することがある.加えて,ペースメーカや人工関節といった体内に留置された人工装置に関連した感染症の起因菌としても重要である. ただし,腸球菌や緑色連鎖球菌などは腸管内に定着し,胆道系感染症,尿路感染症,腹腔内感染症などを起こすことがある.[松永直久]
■文献
東山康仁,河野 茂: グラム陽性球菌感染症. 内科学 第9版(杉本恒明,矢崎義雄編),朝倉書店,東京,2007.
Mandell GL, et al eds: Principles and Practice of Infectious Diseases 7th ed, Churchill Livingstone Elsevier, Philadelphia, 2009.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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